音楽君のブログ

西洋音楽に関係のある語句紹介をしています。

音楽の演奏形態(室内楽)

定義

 独奏楽器からなる小編成の器楽合奏。編成は2楽器(重奏)から9楽器(重奏)までが一般的で、ピアノ三重奏弦楽四重奏などがある。これ以上大きな編成は、室内オーケストラとよばれる。

歴史

 ルネサンス時代以降、王族貴族や都市の富裕層の人々が、宮廷や私邸で音楽を楽しむようになると、室内楽用の器楽曲が多数作曲されるようになった。また、バロック時代には、教会ソナタや室内ソナタとよばれる作品が作られた。なかでもA.コレッリのヴァイオリンのためのソロ・ソナタやトリオ・ソナタは、その後の創作の模範になった。

 バロック時代の終わり頃から、和声書法の充実にともなって、通奏低音がしだいにもちいられなくなり、室内楽そのものにも変化が起こった。たとえば、トリオ・ソナタにおいて、通奏低音チェンバロの右手が保管していた音を、ヴィオラが演奏するようになると弦楽四重奏のかたちになる。さらに古典派への移行期には、チェンバロ用独奏ソナタに、ヴァイオリンやチェロの伴奏が付けられた「伴奏つきソナタ」というジャンルが誕生し、ヴァイオリン・ソナタピアノ三重奏の成立を準備した。

 弦楽四重奏というジャンルが、古典派以降の作曲家にとって、交響曲とならぶ重要なジャンルになったことは重要である。

 ロマン派におけるピアノの表現と音色の飛躍的な改善は、室内楽にも影響をあたえ、R.シューマンやJ.ブラームスピアノ三重奏、ピアノ四重奏、ピアノ五重奏は、ピアノと室内楽の双方の可能性を追求した名作となっている。

 20世紀には肥大化した編成をもつ交響曲に代わって、AベルクやAシェーンベルクが室内オーケストラのための作品を書き、また、B.バルトークやD.ショスタコーヴィチは、弦楽四重奏の分野において、いっそう独創的な表現を実現した。

 

参考文献

久保田慶一 他 『音楽用語の基礎知識――これから学ぶ人のための最重要キーワード100』 東京:アルテスパブリッシング。